2024 .04.27
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2011 .07.18
メインは歌人でらっしゃいますが、小説家でもある作者。同じく歌人の穂村弘さんとのトークイベントを観に行った際に購入。
死んでしまったひと、現世に未練のあるひとびとに、生き返ることはできないけど、現世に存在している「もの」にとりつくことはできる。そのとりつき先を探すのが「とりつくしま係」。
少年野球に打ち込む息子に、一緒に住んでいた恋人に、おかあさんやともだちに、書道の先生に、憧れていた図書館司書の女性に、耳の遠い母親に、遺していった妻に、家族たちに、バスケ部の先輩に、孫息子に、会いたいひとに会うために、何かに「とりつく」ひとたちの物語。
以下、感想です(ネタバレ有り)。
『青いの』がつらかったなあ。じゅんくんは、この後どうなるんだろう。いつまでジャングルジムに「とりついて」いるんだろう。まあくんも、たかしくんも、てんちゃんも、妹のみなちゃんもやがて大人になって、死んでしまってそのまま、ずっとちいさいままのじゅんくんを追い越してずっとずっと大きくなって、ママも年を取って。『ロージン』で、とりついた先のものが減っていくようなものなら、それと同時にだんだんこの世から消えていくのはわかったけど、ジャングルジムにとりついてしまったじゅんくんは、十年、二十年先もここにいるのか。知っている人がだれもいなくなっても。
『白檀』は素敵。これはとても幸せだと思う。生きている限り、桃子さんの想いが叶うことはない。白檀の香りのする扇子以上に、先生に大事にされることは、桃子さんが桃子さんのままでは、叶わない。扇子にとりついた今、桃子さんはずっと先生のそばに、奥様よりも長くいることができるかもしれない。何よりも「ひとりでいるときの先生」を、桃子さんだけが見ることができる。
『日記』も素敵。とてもとてもハッピーエンドだと思う。光さんの望みはすべて叶ったんだ。
これ、感想書いてて思いましたけど、私はきっと、死語に長く現世にとどまりたいとは思ってないんだな。収録されている10編のうち、ずっと現世にとどまるバージョンととどまらないバージョンが半々なのね。比べると、とどまらない方が私は好きだ。
とりつけるのは生命を持たない「もの」にだけ。どんなに親しい人を間近で見たとしても、自分から何を話しかけることもできなければ、自分の気持ちを伝えることもできない。
これはもしかしたら、生きているときもそんなに変わらないのかも。言いたいことをすべて伝えるなんて、生きていたってできないんだから。
疲れているときに、きっと読み返したくなると思う一冊でした。
死んでしまったひと、現世に未練のあるひとびとに、生き返ることはできないけど、現世に存在している「もの」にとりつくことはできる。そのとりつき先を探すのが「とりつくしま係」。
少年野球に打ち込む息子に、一緒に住んでいた恋人に、おかあさんやともだちに、書道の先生に、憧れていた図書館司書の女性に、耳の遠い母親に、遺していった妻に、家族たちに、バスケ部の先輩に、孫息子に、会いたいひとに会うために、何かに「とりつく」ひとたちの物語。
以下、感想です(ネタバレ有り)。
『青いの』がつらかったなあ。じゅんくんは、この後どうなるんだろう。いつまでジャングルジムに「とりついて」いるんだろう。まあくんも、たかしくんも、てんちゃんも、妹のみなちゃんもやがて大人になって、死んでしまってそのまま、ずっとちいさいままのじゅんくんを追い越してずっとずっと大きくなって、ママも年を取って。『ロージン』で、とりついた先のものが減っていくようなものなら、それと同時にだんだんこの世から消えていくのはわかったけど、ジャングルジムにとりついてしまったじゅんくんは、十年、二十年先もここにいるのか。知っている人がだれもいなくなっても。
『白檀』は素敵。これはとても幸せだと思う。生きている限り、桃子さんの想いが叶うことはない。白檀の香りのする扇子以上に、先生に大事にされることは、桃子さんが桃子さんのままでは、叶わない。扇子にとりついた今、桃子さんはずっと先生のそばに、奥様よりも長くいることができるかもしれない。何よりも「ひとりでいるときの先生」を、桃子さんだけが見ることができる。
『日記』も素敵。とてもとてもハッピーエンドだと思う。光さんの望みはすべて叶ったんだ。
これ、感想書いてて思いましたけど、私はきっと、死語に長く現世にとどまりたいとは思ってないんだな。収録されている10編のうち、ずっと現世にとどまるバージョンととどまらないバージョンが半々なのね。比べると、とどまらない方が私は好きだ。
とりつけるのは生命を持たない「もの」にだけ。どんなに親しい人を間近で見たとしても、自分から何を話しかけることもできなければ、自分の気持ちを伝えることもできない。
これはもしかしたら、生きているときもそんなに変わらないのかも。言いたいことをすべて伝えるなんて、生きていたってできないんだから。
疲れているときに、きっと読み返したくなると思う一冊でした。
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