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2018 .09.21
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Twitterで存じ上げました写真家・丸田祥三さんが11/17に刊行されました写真集『廃道 棄てられし道』の発売を記念してのトークライブに行ってまいりました。
壇上に上がられるのは丸田さんと小学館IKKI編集長の江上英樹さん丸田さん写真集の企画・編集をなさった磯部祥行さんのお三方。大学時代の友人である写真が趣味の女を一人伴って観覧しました。

正確にレビューするなら、会場でお話聞きながらメモでもとるべきなんでしょうけど、メモに気がいってしまってお話聞くのがおろそかになりそうなので、メモは一切取らず。
ということで以下、記憶に基づき、かつ印象深かった点だけ羅列していきます。事実と違う点がありましたら、それは私の記憶違いもしくは解釈ミスによるものです。ごめんなさい。

●思わぬ出会い
鉄道についてすこぶる造詣が深くていらっしゃる丸田さん。なので当然、被写体にもよく採用していらっしゃり、「どこにどんな路線が、廃線がある」ということをもう把握していらっしゃる。対して、今回の写真集の題材である廃道は、鉄道ほど全国の情報を網羅しているわけではないため、目的地に向かう途中で意外な廃道に出会い、急遽そっちを被写体としたこともあったそう。
綿密な下調べ、取材を重ねて制作することが主であろう写真集において、そういう偶然の出会いも作品に貢献しているのですね。


●「廃墟」と「遺跡」
以前、丸田さんがお話をされた方で、廃墟、廃道、廃線などの「廃モノ」を「すべてまとめて『遺跡』では?」と仰った方がいらしたとのこと。そこから「廃モノ」と「遺跡」の違いは何かという話に。
丸田さん曰く「廃モノを見るときには、廃れてしまったということについての感慨が湧いてくる。自分が撮ってきた廃線や廃墟らはやはり『遺跡』ではなく廃モノだと思う」。
言葉の使い方に関する話ってとても気になってしまうので、自分はどう思っているかを考えてみました。感覚的には「廃モノ……明確な区切りなく少しずつ忘れ去られうち捨てられてしまったもの」で「遺跡……かつてここが使われていて今はもう使われていないということが広く認知され、弔われているもの」という気がしました。お葬式が済んでいる感じというか。
ちなみに、辞書を引くと「廃墟……建物・市街などの、荒れはてた後」「遺跡……貝塚・古墳・集落跡などの、過去の人類の生活・活動のあと」とありますから、ポイントは経過時間のようですね。

●撮影時間
丸田さんの立場からすれば、かけられるならいつまででもかけられる撮影時間。対して、取材に同行された磯部さんは「失礼な話なんですが、丸田さんが雲の形を待たれていたりする時に『そろそろ動きましょうか』というような声をかけてしまったりしたこともありまして」とのこと。それに丸田さん「雲の形に正解なんてないんですし、時間や予算も無限ではないんですから、そうやって声をかけていただいてありがたいです」
写真集を出す、という話である以上、芸術作品とはいえその撮影は仕事。時間や予算の制限を考えた上で動く。当たり前なんですけど、ちゃんとその制限に合わせて、なおかつクオリティを高められるのがプロなんですよね。
ちなみに、撮影にかかる時間には本当に幅があるらしく、滞在時間10分で撮影された写真もあるとのこと。「波」が来れば短時間でもぱちっと決まる、ということなのかな。

●印刷過程のいざこざあれこれ
今回の写真集はすべてデジカメで撮影されたとのこと。ということは元データの色はRGBで構成されている。しかし写真集=紙に出力するためには、それをCMYKで表さなければいけない。その過程で重要になってくるのは印刷所のスキルやプリンティングディレクターの手腕なのだが、このPDが、印刷過程コントロールの際に元の原稿の再現性の高さよりも「印刷のしやすさ」を重視してしまうことがあるとのこと。
「『今の写真界の傾向から言うとこの黒はソフトな感じの方がいいから、そういう感じにしておきますね』とか平気で言うんですよ。『同じ号に載る大御所の写真がこういうカラーだから、合わせるようにします』とか。ありえないでしょう! それって文芸誌で『大御所先生の今回の作品が明るい話なので、あなたの話もちょっと明るいラストに変えておきました』って言うのと同じですよ」うん、ありえない! ありえないと思うんですけど、でも割とあるんだそうです。
特に、写真関連ばっかり担当されているPDによくあるのだそうです。これって何なんでしょうね。内容の100%再現が容易に可能な文章作品と違って(フォントが大幅に変われば多少印象は変わりますけど、でも文章内容それ自体は誤植がなければ完全再現、完全複製が簡単だもんね)、写真家の目で見た世界→カメラで撮影したその状態→校正紙→本番印刷のそれぞれの過程で100%の再現ができなくてもある程度しかたない、と考えられがちなせいで、そこに甘えが出るってことなのかな。「写真家の目で見たそのものを再現はどうせできないんだから、ここでさらにちょっと変わったところで大きな問題ではあるまい」みたいな? うーん。

●装丁家・祖父江慎さん
今回の写真集を担当された、装丁家の祖父江慎さん。私でもお名前を存じ上げている大御所でらっしゃいますが、そのお仕事がすばらしかったとのこと。初校(データを印刷所に入稿して、印刷後こんな感じになりましたけどどうでしょう?って最初に見る見本みたいなもん)をチェックして修正を入れるんですが、その際の指示が、丸田さんの意図を完璧にくみ取りつつ、それを絶妙にイメージを想起させる語彙でもって伝えられるのだそうです。
祖父江さんの赤ペンの入った初校の束が会場後ろに置いてあったんですが、細やかな指示の数々にほおおおおぅ、とためいき。最初の仕上がりがいいと「120点!パーフェクト!」とか笑顔のイラスト入りで書いてあったりするのも微笑ましい。祖父江さんの関わられる打ち合わせは、いつも笑いが絶えないのだそうです。そういういい空気を作って「この人のためにがんばろう」と思わせるってのも大事な仕事スキルだよね。



今の仕事で印刷所とのやりとりとかすることもあるため、どうしてもそこらへんに興味が集中しがちで話が偏っていますが、ご容赦くださいませ。
さまざまな過程を経て完成した写真集は、これからじっくり拝見します。
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